昭和48年、小2の時に祭りでおもちゃを買ってもらった。おもちゃと言っても30㎝ぐらいの針金に5㎝ぐらいの黄色いチョウチョがついたもの。大きいトンボやチョウチョもあったと思うけど、多分値段の違いがあったんだろう。それでも私は大喜びで、友達にそれを自慢し、ゆらゆらと動かして見せた。友達は、その揺れ方を見ながら「ベンベコリンや！」と言った。それは彼女が突発的につけたオリジナルネームだったけど、なぜかとても愉快になって、指揮者のようにそれを揺らしながら「ベーンべコリーン ベーンべコリーン」と言って彼女を追いかけた。当然顔も半目にして怖めに。キャーキャー言って逃げていたけど、次は交代して彼女がベンベコリンを持って追いかける。毎日、学校が終わったらベンベコリンを取り合いして、そればかりしてた。何が楽しかったのかは分からないけど子供って意味不明な遊びに夢中になる。
あれから50年、祭りであのおもちゃは見なくなった。あの日買ってもらった「ベンベコリン」の本当の名前も分からないまま2度とお目にかかれないのかと思うと寂しく思う。
