妖怪人間ベムが好き。小学校低学年の時、夕方の再放送を観ていた。母はホラー系は苦手で、夕食の用意もあるし一緒には観てくれない。近くにはいるけど怖いので、私は埃だらけのテレビの後ろにしゃがみ込んでちらっと見たり「それはいつ生まれたか誰も知らない」というナレーションと音を聞いていた。ある日、オープニングが終わって母の方を見ると姿がない。私は青ざめ号泣しながら「ま”ま”―!」と何度も絶叫し表に出た。母は買い忘れた食材を買いに近くの市場に行っていた。抱きついてからも恐怖はやまず近所中に号泣音を響き渡らせて帰ったのを覚えている。
そんなに怖がっても、再放送があるたびに妖怪人間ベムを見た。ただ大人になってベロにひとこと言いたくなった。お前はいつも人の家や、入ってはいけない所に勝手に入り込む。「誰だ!?」と怒られたら必ず「おいらベロッて言うんだ。」と返すが、誰も名前なんか聞いてないし。最終回で死んだのか人間になれたのかわからないけど、もし人間になれたのなら一般常識を勉強しろ。