あれは平成初期、家族で靴屋さんに行った時の事。元旦那は店に入った途端、車のキーを中に入れたままだと言い出した。スペアキーを取りに帰るには1時間ぐらいかかる。「どーしよー」と大騒ぎして靴屋の店員にまで相談し、クリーニング屋でもらうような針金ハンガーを借りてきた。当時の車のカギは、ポチっとした突起を自分で下げてから外の取っ手を引きながら閉めるタイプ。「ハンガーなんか借りてどーするねん」と思いながら子供と駐車場にたたずんでいた。彼は、少し開いてた窓からハンガーを入れ、中の窓の隙間にハンガーを差し込み、中からカギを引っかけて開ける気らしい。「そんなアホな。」男の店員さんは協力的で、何度も様子を見に来てくれた。義両親の家なら頑張ったら30分ぐらいで行けるし、公衆電話で迎えに来てもらう事だって出来たのに、その時は全く考えられなかった。1時間以上待ったと思う。そんなアホなやり方で見事にカギは開いた。あの時は、店員さんと共に大喜びしたけど、こんな素人でも開けられるカギって怖いと思った。案の定、今はそんな危険なカギないよな。
