昭和58年、友達のN恵と河原町を歩いていた。夕方からは別の友達とモッズのコンサートに行く予定。途中、金髪でど派手な化粧の女に呼び止められた。緑のスーツを着ていたから、私たちはその後、その女を「みどり」と呼んでいる。みどりは、肌診断をタダでやってあげると言ってきた。どーでも良かったけど、あまりにもしつこいので仕方なくついて行くと、ビルの4階に連れていかれ、暗い部屋でモニターを見せられ、「ほら、今見ているのが将来のあなたの顔なんです。シミだらけでしょ～」と、勝ち誇った顔で言われた。そこからみどりは2～30万円かかるエステを受けろと迫ってきた。「1日コーヒー1杯我慢したら払える」という今思えばお決まりの文句だ。「無理だ」と言っても絶対引かない。長い時間、押し問答が繰り返された。気付けばコンサートの時間が迫っている。私たちは渋々契約書にサインをし、やっと解放されタクシーを飛ばしたが、コンサートは始まっていた。時間返せ！モチロン次の日に、2人でビビりながらも断りに行った。みどりは不機嫌だったけど、17～8の小娘に声をかける方が悪い。
