平成18年頃、20歳前後だった息子は【痔瘻】になった。痔と痔ろうの違いは今でもよく分からないけど、ウチのトイレが和式だったのは、きっと地獄だっただろう。何にも言わず1人で病院に行き、手術をしたらしい。そして、私と娘に打ち明けた。笑い話で終われば良かったのに、1回目の手術では治らなかった。再手術だ。息子は痛さのあまり、車でバックする時、後ろをちゃんと向けなくてバンパーを壊し、高い修理代を払った。踏んだり蹴ったりだけど、人に当たらなかっただけ良しとしよう。息子の唯一の頼みは「薬局でナプキンを買ってきてほしい」だった。お安い御用だと息子専用に1袋渡した。気付けば、下駄箱の上やテーブル、家のあちこちにナプキンが無造作に置かれ、娘と私は困惑した。人が来ても、誰も息子の物とは思わないだろう。期間限定だったけど、どうしてまき散らすのか男心は全く理解できなかった。今は洋式トイレになり、息子は自腹でウォシュレットを付け、快適に過ごしている…と思う。