昭和58年、私が18歳の時、叔母が赤ちゃんだった従妹を連れて遊びに来た。私は赤ちゃんが珍しかったので子供部屋に連れていき、姉と無駄に抱っこしたり笑わせたりした。母と叔母はべらべら喋っている。私がちょっと部屋を離れたすきに、従妹は私が大事にしていた「TDKゴールデンカセット」のテープを中からズルズルとほじくり出していた。抽選で当たって、友達に自慢していた私のネーム入りのお宝が!
「このクソガキ~!!!」
姉に「お前もちゃんと見とけよ!」と怒鳴り、私は半泣きで叔母にチクりに行った。「あーごめんな」それだけかい!叔母は会うたびに小遣いをくれる良い人だ。でも、これは非売品なのでお金では、もはや解決できない。みんな大嫌い!鉛筆をカセットの穴に突っ込んで、てんこ盛りのテープを戻しながら「このガキ、早く連れて帰ってほしい」そう思っていた。
従妹はもう40歳を超えているが、この事実はまだ知らない。