平成25年、ネズミに苦しんだ私は1カ月以上かけて、今の家からも近く、家賃も安い1ＤＫの家をネットで探し続けた。勉強し過ぎて、いざ不動産屋に行った時、紹介してくれるマンションに「そこは、ＩＨだから嫌。そこはトイレと風呂が一緒だから嫌。そこは駅から遠い」だの、ことごとく文句をつけた。そんな時、同棲中の息子から「家に帰るから引っ越しは待って」と連絡が来た。女と別れたんだ。急きょ2ＤＫに変更。近くに少し家賃は高いけど、ベランダが広くて明るいマンションがある。私は近所の娘を誘って夜にこっそり見学に行った。入口が異常に暗くて足が震え、挫折しようとした。でも娘は「見たいんやろ！」とグイグイ私の手を引っ張っていった。入るとそこは、バイオハザードの要塞みたいな不気味な作りで、真ん中がぽっかり空いていて周りに玄関がある。2人は飛んで逃げた。あまりにも怖かったから、友人のN予に同じ風景を夜に見せたら「怖い」を連発していた。誰もが恐れるホラーマンションだと確信したが、昼間に中を見せてもらったら、普通の明るい家だった。家を探す時は試乗みたいに１日泊まらせてほしいと思った。引っ越し先は、私が探していた管轄ではない、子供たちが見つけてきた所にあっさり決まって今に至る。
