昭和46年、父は姉と私に、タカラブネの「ロンロンソフト」をよく買ってくれた。幼稚園児の私には、とてもビッグで夢みたいなソフトクリーム。ある日、それを買ってもらった私のテンションはおかしく、後向きに歩きながらイキって食べていた。そして、よその家の前で、何のために置いていたのか、30センチ以上の石にも気付かず、そのまま後ろにコケた(後にそれがイケず石だと知る)。当然「ロンロンソフト」も飛んでいき、私は大泣き、父は姉に不憫で面倒くさい妹のために自分のをあげてくれと頼んだ。私は姉のをもらい、泣き止んだ。
私たち家族は、車で昔住んでいた場所を通るたび、当時の話で盛り上がる。タカラブネはもうなかったけど、「自分も子供で食べたかったのに、よーくれたな～」と言ったら姉は、
「だってあの時100円もらったもん」私は年長さんでも姉は小5だった。お金の力、強し。
