昭和56年、高1の時、お好み焼き屋でバイトをした。個人店だからオープンは私1人。ある日曜日、開店と同時に4人家族が入ってきた。4枚のお好み焼きををセットしテーブルに持っていく。あとは鉄板に火を点けてセルフで焼いてもらうのだが、なかなかチャッカマンの火が付かない。カチカチカチカチカチカチ。朝一のせいか全然点かなくてカチカチをやり続けていたら
「ボンっ!」
と言う音と共に火が飛び出てきて覗いていた私の顔に直撃した。私は顔を手で覆い、隣のトイレに直行した。火傷とかはなかったけど前髪とまつ毛が焦げた。4人家族は心配げに見てきたが「大丈夫でした」とチリチリに焦げた髪を指で掃って勇気リンリンで火を点けなおした。でも、これから10時間ここで火を点けなければならない。「嫌だ~~!!!」でも、16歳の私は店の大将とは挨拶以外したことがなく、事情を伝えられなかった。客が来たら、わざと皿を洗ったりしてたら、不自然な動きと前髪で察してくれたんだと思う。火はできるだけ点けてくれた。
次の週、1人の時に、強面のオジサンがカウンター席でお好み焼き(大)を頼んできたので焼いてたら、裏返すときに真っ二つに割ってしまった。平謝りで修復作業をしたら、新聞を読みながら「いいよ」と言ってくれたが、16歳の子供は、火も人も何もかも怖くなってそれからすぐバイトを辞めた。
お金を稼ぐって難しい。