昭和50年、2階建てで5戸繋がっている社宅に引っ越した。お隣は新婚のO本さん。1階の裏に洗濯場と洗面所があったんだけど、昔の作りだからか、仕切りがない。洗濯をする時も、歯を磨く時も隣の人がいたら、挨拶をしなければならなかった。O本さんは旦那さんが仕事に行ったら寂しいのか、うちの生活音が聞こえると裏に出てきて話しかけてきた。子供が産まれても変わらず、買い物に行くから子供を見ていてとか、久しぶりに自転車に乗りたいから私の自転車を、ちょっとだけ貸してとか、こちらの都合はお構いなしに、グイグイ侵食してきた。母はそんなO本さんの事が嫌だったのだと思う。すぐパートに出だした。
ある日、裏の排水溝から靴洗いブラシが流れてきた。O本さんので間違いない。あり得ない事に母はそれを使い始めた。返す時のコミュニケーションが嫌なら、いっそ捨ててしまえばいいのに!嫌い度がMAX超えてしまって「イヒヒ~私はこんな悪いヤツだから、近づいたら危ないよ~」と逆に嫌われたかったのか?子供ながらに母のこの行動にショックを受けた。それからは、母が「靴洗いブラシを買い替えよかな」と言う度に、「O本さんに貰えばいいやん」と何年も何年も何年も何年も言い続けた。「あんたは人の嫌なことばっかり覚えてる」と、言われたが、それが唯一、私の才能なので、嫌なら今後そういうDQNな行動は控えていただきたい。