平成13年、叔父が死んだ。父の弟だ。お葬式には中1だった息子を連れて行った。着いた途端、母は来ていた自分の妹2人と話しをし出した。その姿を見て息子は「お婆ちゃんって三つ子やったん?」と、小さく震えた。菅井きん系の顔が3人で黒い着物を着て喋っていたら、それはもう横溝正史シリーズにしか見えなかったんだろう。「犬神家か!」私は葬式にもかかわらずゲラゲラ笑った。
帰りに父が「いづもや」に連れて行ってくれると言った。私は生まれて初めての「いづもや」に大喜びして葬式帰りにも関わらず「私ら二人、ここのもんなんですよ、どうもどうも~。」と、何度もCMの真似をした。
上機嫌のまま実家に帰り、葬式で渡された物が、ハンカチじゃなく商品券だった事が分かった時、がめつい私は、父に香典を立て替えてもらったにも関わらず、すべて自分の物にした。そして無くしてしまった。おそらく、テーブルの隅に置いて、新聞紙などと混ざり、捨ててしまったのだろう。
そんなアホなオチを分かっていたのか、叔父の死に顔は笑っていた。