小学生の時、母と桃山城のプールに行った。近鉄電車に乗り、桃山御陵前の駅で降りて、バスで桃山城まで行く。長い道のりだが、着くと喜んで遊び続け、母が「もう帰ろか」と言っても「もうちょっと」と何度も繰り返す。私はプールが好きだ。水に入るといつまでも泳いでいられるので、自分は人魚の生まれ変わりかもと思っていた。ギリギリまで遊んでバスを待ち、乗り込んだ。でも、駅に着く直前、私はプールバックをバス停の椅子に置き忘れた事に気づいた。恐る恐る母に伝えたら一瞬で、その顔は般若になり、着くなり私に「ここで待っとき！」と再びバスに乗り込んだ。バス停で待ってる時間はめちゃめちゃ長く感じた。母は戻ってくると「行きは事情を話してタダで乗せてもらえたけど帰りはお金払ったわ！」と、無駄なバス代を払ったことを、ブリブリ怒っていた。お金を持っていたら弁償したいぐらい、気まずかった。
中学生になった時、姉と２で再び桃山城のプールに行った。今、思えば姉妹２人で行くという事は、新聞屋から無料チケット２枚もらっていたのだろう。昔はよくもらってた。中学時代の私は貧血で、行きは姉が心配するぐらいフラフラしていた。だが着いた途端、人魚は元気を取り戻し泳いぎまくった。そんな私を見て、姉がひとこと
「あんたって河童みたい」
