昭和63年から16年住んでいたマンションは、土曜日の夜中、家の前の大きな交差点で暴走族が何度も空ぶかしをするスポットだったので死ぬほどうるさかった。一度ベランダから見たけど、その数はすごかった。文句を言ったら秒で殺される数。後を追うパトカーも超うるさかった。
でもそれよりも、すごいのは騒音ではなくゴキブリだ。いつの間にか、コーヒー豆ぐらいのゴキブリが大量発生して、ホイホイを置いたら一瞬で満員になる。ホウ酸団子も効かない。田舎に帰る時、バルサンを炊いたけど、帰る頃には避難場所から戻っていて「おかえりー」と出迎えられた。そいつらは、台所だけじゃなく各部屋にまで侵食してきた。ある夜、寝ていた私は違和感で目を覚ました。口を開けて前歯むき出しで寝ていた私のその歯の上に何かいる。すぐ歯の隙間から空気をシュッと吐き出し、それを飛ばした。やはりアイツだった。今思い出しても吐きそう。でも、歯で留まってくれて良かった。喉から体に入っていたらと思うとゾッとする。これはまさに白いギターレベル。やっと引っ越しをして、ミッションクリア出来たと思ったのに、次の家にはビッグサイズのゴキブリが住んでいた。
