昭和55年、15～16歳の1年間、姉と喋らなかった。理由は忘れたけど、つまらない喧嘩で猛烈にムカついた。一緒に暮らしているけど、姉に話しかけられても全く無視、目も合わさなかった。蛇年はしつこい。私は3人家族のひとり娘として生きていた。それでも、家族で出掛けたりはする。夏休みには、神戸ポートピアランドに、ジャイアントパンダを見に行く予定。パンダも見たいし、そこで売られている【パンダフル弁当】は絶対欲しい。弁当も食べたいけど、何よりパンダの弁当箱がかわいかった。私は両親に、着いたら1番に【パンダフル弁当】を買わなければ売り切れてしまい、私の機嫌が最悪になる恐れがあると熱く語った。さすが末っ子、いや、一人っ子、家族で真っ先にパンダフル弁当の所に行き、見事ゲットした。上機嫌だ。姉が「写真撮ってあげる」と言った途端、真顔になってそっぽを向いた。当時の写真があるけど、私はほとんど下か横を向いている。「ちょっとだけ笑って」母まであちらの味方になって笑えと言う。そして奇跡の１枚が撮れた。完璧なサイコパス。口だけ異様に笑っているが目は宙を泳ぎ死んでいた。 そんな風に1年を過ごしたけど、姉が突然、私に当時流行っていたスプーンとフォークセットを買ってきた。社会人の姉は金でカタを付けようとし、私はあっさり和解した。16歳は子供だ。
