昭和40年代、我が家のオルガンは狭い部屋と部屋の間に敷居のように置かれていた。
ある夜、オルガンを背もたれにして座っていた時、グイグイもたれすぎて、そのまま後ろに倒してしまった。しかも、後ろには父がオルガンと垂直に布団を敷いて寝ていた。父の上半身はオルガンの下敷き。母は慌てて「パパに謝り!」と怒鳴ったが、謝る前に父は動かない!鼻血がドバっと出でいたり、脳みそがつぶれて死んでたりとか考えへんのか?私は幼くして父を殺めてしまったかもしれない。慌てて2人でオルガンを起こしたが、私がもたれて倒れるぐらいだから思ったより軽かった。幸いケガもなく父は生きていたけど、謝った私に、父は何も言わず再び寝てしまった。それほど痛くなかったのか、それとも「家族のために働いて、疲れて寝てたらこの仕打ちかい!」と呆れて言葉にならなかったのかは今も謎のままだ。